red light

このサイトについて

category

Anti-aging and beautiful skin

アンチエイジング・美肌

画像:記事ヘッダーイラスト

目尻のしわは家庭用LEDマスクで変わる?「本物」と偽装置を比べた60人の研究

画像:記事アイキャッチ

赤色LEDのマスクを家で使うと、本当に目元のしわは変わるのでしょうか。

美容用のLEDマスクは、自宅で顔に光を当てるだけという手軽さがあります。でも、鏡を見て「なんとなく良くなった気がする」だけでは、本当に変化したのか判断しにくいですよね。

そこで今回紹介する研究では、30〜65歳の60人を対象に、本物のLEDマスクと、見た目は同じ「偽の装置」を使って比較しました。しかも、参加者だけでなく研究を担当する医師にも、どちらの装置を使っているのか知らせない方法が採られています。

使ったのは、630nmの赤色LEDと850nmの近赤外光を組み合わせたマスクです。1回9分、週5回を12週間。合計すると60回、540分の使用になります。

では、目尻のしわはどのくらい変わったのでしょうか。さらに、使用をやめて4週間後にも違いは残っていたのでしょうか。

2025年に医学誌『Medicine』で発表された研究を、数字を追いながら見ていきます。

60人を「本物のLEDマスク」と「偽装置」に分けて比較

今回の研究は、韓国の2つの医療機関で行われました。

対象となったのは、30〜65歳のアジア系の男女60人です。目尻のしわを0〜4の5段階で評価したとき、表情を作っていない状態で2〜4に当てはまり、両目の目尻のしわを改善したいと考えている人が参加しました。

研究開始時の参加者は男性4人、女性56人で、女性が大部分を占めています。

研究条件をまとめると、次のようになります。

項目内容
研究参加者60人
年齢30〜65歳
参加者アジア系
性別男性4人、女性56人
実施施設2施設
本物の装置630nm赤色LED+850nm近赤外光
光の強さ630nm、850nmともに最大10mW/cm²
偽装置850nmは出さず、630nmは本物の10分の1の出力
1回の使用時間9分
使用頻度週5回
使用期間12週間
総使用回数60回
総使用時間540分
使用場所自宅
最終追跡使用開始16週後=使用終了4週後

大切なのは、比較グループも「まったく光を浴びなかった」わけではない点です。

偽装置は見た目や使い方を本物と同じにしていますが、850nmの近赤外光は出ず、630nmの赤色光も本物の10分の1の強さでした。

つまり、この研究で比べているのは、「しっかりした強さの630nm+850nm」と「非常に弱い630nm」という条件に近いものです。

本人にも医師にも、どちらの装置か知らせなかった

「本物を使っていると分かれば、良くなったように感じてしまうのでは?」

そんな疑問をできるだけ減らすため、参加者は無作為に2つのグループへ分けられました。

さらに、参加者も研究を担当する医師も、自分がどちらの装置を使っているか分からない状態で研究が進められました。

研究期間中は、顔のしわ改善を目的とした皮膚科治療なども中止するよう求められています。直近6カ月以内に顔へのレーザー・光治療・手術を受けた人や、コラーゲンやヒアルロン酸などの注入治療を受けた人などは対象から除かれました。

「しわが改善した」とは、どうやって判断した?

目尻のしわは、「Crow’s Feet Grading Scale(CFGS)」という5段階の基準で評価されました。

難しい名前ですが、考え方はシンプルです。

スコア目尻のしわの状態
0しわなし
1ごく細かいしわ
2細かいしわ
3中程度のしわ
4強いしわ

研究では、使用前よりスコアが1段階以上下がった人を「目尻のしわが改善した」と判定しました。

たとえば3だった人が2になれば、改善とみなされます。

しかも主な評価は、参加者本人ではありません。撮影した写真を、研究とは別の評価者がチェックしています。

そのほか、研究を担当する医師による評価と、「全体的に見てどのくらい良くなったと感じるか」という参加者本人の評価も行われました。

12週間後、第三者が「改善」と判定した人は86.2%

まず、この研究でもっとも重要な結果を見てみましょう。

12週間、合計60回の使用を終えた時点で、独立した評価者が写真から目尻のしわを判定しました。結果は、かなり大きく分かれました。

グループ12週間後に「しわが改善」と判定
630nm+850nmの本物の装置29人中25人(86.2%)
偽装置30人中5人(16.7%)

本物の装置を使ったグループでは、86.2%、およそ10人に9人が「使用前より目尻のしわが1段階以上改善した」と判定されました。
一方、偽装置では16.7%、およそ6人に1人です。

グループ間の差は69.5ポイントでした。

研究計画ではあらかじめ、「改善率が69.2%以上」「偽装置との差が49.2ポイント以上」という成功基準が設定されており、今回の結果はその両方を上回っています。

最初の4週間では小さな差。8週間後から違いが広がった

では、使い始めてすぐに変化したのでしょうか。

この研究では4週間ごとに経過を追っています。

独立した評価者が「目尻のしわが改善した」と判定した割合は、次のように変化しました。

時点本物の装置偽装置
4週間後20.7%3.3%
8週間後44.8%10.0%
12週間後86.2%16.7%
16週間後※86.2%23.3%

※本物の装置を使ったのは12週間まで。16週間後は、使用終了から4週間後の追跡評価です。

4週間後の時点では、本物と偽装置の差はまだ明確とはいえませんでした。

ところが、8週間後になると44.8%対10.0%となり、グループ間の違いがはっきりしてきます。12週間後には86.2%対16.7%まで広がりました。

つまり今回の条件では、「数回使えばすぐに大きく変わった」というより、数週間にわたって繰り返し使用する中で違いが大きくなったと読むほうが研究結果に合っています。

「改善した人の割合」だけでなく、しわの点数そのものも低下

もう少し細かく見てみましょう。

独立した評価者がつけた、目尻のしわの平均スコアです。数字が低いほど、しわが軽い状態を表します。

時点本物の装置偽装置
使用前3.143.20
4週間後2.933.17
8週間後2.663.10
12週間後2.073.00
16週間後2.072.93

スタート時は、本物の装置が3.14、偽装置が3.20と、ほぼ同じ程度でした。

12週間後には、本物の装置を使ったグループが3.14から2.07まで低下しています。一方、偽装置は3.20から3.00でした。

これは「しわが何%減った」という数字ではありません。

目尻のしわを0〜4で評価した点数が、平均して軽い方向へ動いたという意味です。

研究を担当した医師が見ても、8週間後から差が出た

独立した評価者だけではなく、研究を担当した医師自身も目尻のしわを評価しました。

こちらでも、4週間後には2グループの差は明確ではありませんでした。

しかし8週間後には、本物の装置で62.1%、偽装置で20.0%の人が改善と判定されています。

12週間後は、

  • 本物の装置:72.4%
  • 偽装置:26.7%

16週間後は、

  • 本物の装置:72.4%
  • 偽装置:30.0%

でした。

評価者によって改善率そのものには違いがありますが、8週、12週、16週では、本物の装置を使ったグループのほうが改善した人の割合が高いという流れは共通しています。

ところが、本人の感想では2つのグループに明確な差がなかった

ここは、この研究を読むうえでかなり興味深いところです。

第三者や医師がしわを見ると、本物と偽装置に違いが確認されました。

では、使っていた本人はどう感じたのでしょうか。

研究では参加者にも、「全体的な見た目がどのくらい改善したか」を評価してもらっています。

12週間後の平均値は、

  • 本物の装置:1.00
  • 偽装置:0.87

でした。

数値だけを見ると本物のほうがやや高いのですが、参加者本人の評価では、2グループの間に明確な差は確認されませんでした。

つまり、「本人が本物を使っているから良くなったと思い込んだだけ」という単純な結果ではありません。

むしろ今回の研究では、本人の感覚では本物と偽装置を明確に分けられなかった一方、写真をもとにした第三者や医師の評価では違いが見つかったという、少し面白い結果になっています。

12週間で使うのをやめたあと、4週間後はどうなった?

「使っている間だけ良くて、やめたらすぐ元に戻るのでは?」

気になるところですよね。

今回の研究ではLEDマスクを使ったのは12週間です。その後は使用を終了し、さらに4週間後の16週時点まで追跡しています。

独立した評価者による本物の装置グループの平均しわスコアは、12週間後2.07 → 16週間後2.07と変わりませんでした。

改善したと判定された割合も、12週間後86.2% → 16週間後86.2%でした。

この研究の範囲では、使用を終了して4週間後までに明らかに元へ戻る変化は確認されなかったことになります。

ただし、追跡したのはわずか4週間です。

半年後や1年後まで同じ状態が続くかどうかを調べた研究ではありません。そのため、「効果が長期間持続する」とまでは言えません。

赤い光と近赤外光で、なぜ変化する可能性がある?

「そもそも、光を当てるだけで、なぜ肌に変化が起こるのでしょうか。」

論文では、その背景としてフォトバイオモジュレーションと呼ばれる考え方を紹介しています。

過去の研究では、赤色光や近赤外光が細胞内で光を受け取る仕組みに作用し、細胞が活動するときに使うエネルギーであるATPの産生や、一酸化窒素、活性酸素などを通じた細胞内の反応に影響する可能性が説明されています。

また、論文では過去の研究として、600〜650nmや800〜860nm付近の光が、コラーゲンをつくる細胞やコラーゲン・エラスチンの産生に関係する可能性についても触れています。

ただし、ここはきちんと分けて考える必要があります。

今回の60人の研究では、ATPやコラーゲンそのものを測定していません。

直接確認したのは、あくまで目尻のしわについての写真や評価スコアです。

「630nmと850nmの光によってATPが増え、その結果コラーゲンが増えたからしわが改善した」と、この研究だけから因果関係を断定することはできません。

安全性は?60人中4人に好ましくない変化が報告された

自宅で週5回使うとなると、安全性も気になります。

研究では、60人中4人、6.67%に好ましくない出来事が報告されました。

報告されたのは、

  • 本物の装置を使った人の乾燥肌
  • 新型コロナウイルス感染
  • アレルギー性結膜炎
  • 偽装置グループのキノコアレルギー

です。

このうち、本物の装置を使っていた1人では乾燥肌が起こり、研究から離脱しました。後遺症は残らなかったとされています。

重い好ましくない反応は報告されておらず、著者らは他の出来事についても研究との明確な関連はないとしています。

したがって、「大きな安全上の問題は確認されなかった」というのが論文の結果です。

ただし、「60人で重大な問題がなかった」と「誰にでも安全」は同じ意味ではありません。今回の人数と条件の範囲で評価された安全性として捉える必要があります。

なお、論文内では研究中止者について、結果の章では「個人的な理由で離脱した女性1人」と説明されている一方、安全性の章では「乾燥肌のため1人が離脱した」と記載されており、中止理由の記述には一致していない部分があります。

「肌が明るくなった」という声もあった。でも今回の結論にはできない

論文では、約4分の1の参加者が「肌が明るくなった」「色むらが目立ちにくくなった」と感じたことにも触れています。

研究者側も、本物の装置を使ったグループで肌の明るさに関する変化を認識したとしています。

ただし、この研究では肌の明るさを客観的に測定していません。

著者自身も、この点について科学的・定量的な研究が必要だとしています。

そのため、今回の研究から「630nmと850nmで美白効果が確認された」と読むのは適切ではありません。

家庭用LEDマスクなら、どれでも同じ結果になる?

今回使われたのは、特定の家庭用マスク型装置「Easy Claire」です。

条件は、

630nm+850nm、最大10mW/cm²、1回9分、週5回、12週間

でした。

そのため、この研究結果を「家庭用LEDマスクなら何でも同じ」と広げることはできません。

同じ赤色LEDでも、波長、光の強さ、照射範囲、肌との距離、1回の使用時間、使用頻度などが違えば、研究条件も変わります。

さらに今回の比較相手は「光が完全に出ない装置」ではありません。偽装置でも630nmの赤色光が本物の10分の1の強さで出ています。

この研究から一番素直に言えるのは、今回使われた630nmと850nmの組み合わせを、決められた条件で12週間使用したグループでは、弱い630nmだけを使用したグループより目尻のしわに改善方向の変化が多く確認されたということです。

研究結果を見る前に知っておきたい限界

今回の研究には、比較試験として評価しやすい点があります。

参加者を無作為に分け、本物そっくりの偽装置を用意し、参加者と医師の両方にどちらを使用しているか知らせない方法を採っています。

一方で、結果をそのまま広く一般化する前に知っておきたい点もあります。

まず、参加者は60人と大規模な研究ではありません。 最終的な主な解析では59人が対象となり、研究計画どおりに完了した人だけを見る解析では58人でした。

また、参加者は男性4人、女性56人で、女性が約93%を占めています。全員がアジア系で、年齢も30〜65歳です。男性やほかの人種、より若い人・高齢の人でも同じ結果になるかは、この研究だけでは分かりません。

さらに、追跡は使用終了から4週間だけです。長期間続いた場合の安全性や、半年後・1年後のしわの状態までは調べられていません。

研究者は、参加者にほかのしわ治療や美白化粧品などを使用しないよう指示していますが、研究期間中に別のスキンケアサービスを受けていた可能性を完全には除外できないことも限界として挙げています。

そして、参加者本人による見た目の評価では、本物と偽装置の間に明確な差が出ませんでした。この結果も、第三者評価だけを見るのではなく一緒に押さえておきたいポイントです。

研究費を出したのは、使用した装置のメーカー

今回の研究は、Y&J Bioから研究費の提供を受けています。研究に使われた「Easy Claire」も同社の装置です。

論文では、研究の計画、データ収集、解析、結果の解釈、論文執筆は資金提供元とは独立して行われたと説明されています。また、著者らは商業的な利益相反はないとしています。

企業が資金を提供したから結果が間違っている、という意味ではありません。

ただし、研究対象となった装置のメーカーが研究費を提供していることは、研究結果を見る際に知っておきたい情報です。

まとめ|週5回を12週間。第三者が見た目尻のしわには差が出た

今回の研究では、30〜65歳の60人を、本物のLEDマスクと見た目が同じ偽装置へ無作為に分けました。

本物の装置では、630nmの赤色LEDと850nmの近赤外光を1回9分、週5回、12週間、合計60回使用しています。

12週間後、独立した評価者が「目尻のしわが1段階以上改善した」と判定した割合は、本物86.2%、偽装置16.7%でした。

変化は使用直後から一気に現れたわけではありません。4週間後では差がまだ明確ではなく、8週間後から2グループの違いがはっきりしてきた点も、この研究の興味深いところです。

さらに、12週間で使用を終えたあと4週間経過した16週時点でも、本物の装置グループでは86.2%が改善と判定されていました。

一方で、参加者本人による見た目の評価では、本物と偽装置に明確な差は確認されていません。また、参加者の大部分が女性で、長期追跡も4週間だけです。

この研究から一番素直に読み取れるのは、決められた条件で630nmの赤色光と850nmの近赤外光を12週間繰り返し使用した人では、弱い630nmだけを使った人より、第三者や医師が評価した目尻のしわに改善方向の変化が多く見られたということです。

「赤色LEDマスクなら何でも同じ」「誰にでも同じ変化が出る」とまで示した研究ではありません。

それでも、自宅で使用する光ケアを、本物そっくりの偽装置と比較しながら12週間追ったという点では、家庭用LEDマスクを考えるうえで興味深い研究といえます。

参考文献

Clinical study to evaluate the efficacy and safety of home-used LED and IRED mask for crow’s feet: A multi-center, randomized, double-blind, sham-controlled study

Sang Hyun Park, Seong Oh Park, Jae-A Jung
2025年
Medicine, 104(7), e41596
DOI:10.1097/MD.0000000000041596

専門用語のかんたん解説

PBM(フォトバイオモジュレーション)
光を使って細胞や組織の働きに影響を与える方法です。

近赤外光
赤色光より波長が長く、人の目ではほとんど見えない光です。今回の研究では850nmが使われました。

CFGS
目尻のしわの強さを0〜4の5段階で評価する方法です。数字が小さいほど、しわが少ない状態を表します。