Anti-aging and beautiful skin
アンチエイジング・美肌
赤色LEDマスクを3カ月使うと肌はどう変化する?1カ月ごとに追った20人の研究
赤色LEDの光を顔に当てる「赤色LEDマスク」。肌を傷つけるのではなく、赤い光を利用する美容ケアとして注目されています。
では、赤色LEDを使い始めたとして、肌の変化はいつごろ現れるのでしょうか。
1回使っただけで変わるのか。それとも、数カ月続けて初めて違いが出るのか。美容ケアとして考えるなら、気になるところです。
2023年に発表された研究では、45〜70歳の20人が赤色LEDマスクを自宅で3カ月使用しました。
この研究の面白いところは、使用前と3カ月後だけを比べたのではないことです。
開始から28日後、56日後、84日後と1カ月ごとに肌を測定し、目尻のしわ、フェイスライン、肌の硬さ、真皮の密度、毛穴、皮脂などがどのように変化していくのかを追っています。
さらに、3カ月で使用を終えたあとも28日間調査しています。
変化は最初の1カ月から見られたのでしょうか。それとも、2〜3カ月続けることで違いが大きくなったのでしょうか。
研究結果を時間の流れに沿って見ていきます。
今回調べたのは「3カ月続けたときの肌の変化」
研究で使われたのは、「Skin Light Dior × Lucibel」という顔全体を覆う赤色LEDマスクです。
参加者はこのマスクを自宅に持ち帰り、1回12分、週2回のペースで3カ月間使用しました。
光の種類は630±10nmの赤色光です。
| 項目 | 研究条件 |
| 参加者 | 20人 |
| 年齢 | 45〜70歳 |
| 平均年齢 | 55.6歳 |
| 使用した光 | 630±10nmの赤色LED |
| 1回の使用時間 | 12分 |
| 使用頻度 | 週2回 |
| 使用間隔 | 72時間 |
| 使用期間 | 3カ月 |
| 光の強さ | 21.7mW/cm² |
| 肌に届く光の量 | 15.6J/cm² |
| 測定 | 開始前、28日後、56日後、84日後 |
| 使用終了後 | 14日後、28日後にも測定 |
「週2回」と書かれているため3カ月でおよそ24回程度と想像したくなりますが、実際の総使用回数は論文に明記されていません。そのため、この記事では「○回使用した」とはしません。
なお、参加者の性別については、論文の抄録には「20人の健康な白人女性」、本文の方法には女性15人・男性5人とあり、記載が一致していません。ここでは、より詳しい本文の記載をもとに紹介します。
1カ月目。まず動いたのは、しわ・肌の硬さ・真皮密度など
最初の測定は、使用開始から28日後です。
この時点ですでに、いくつかの項目で研究開始前との差が確認されました。
| 項目 | 28日後の変化 |
| 目尻のしわの深さ | 15.6%低下 |
| フェイスラインのたるみ | 5.4%低下 |
| 肌の硬さを示すR0 | 13.6%低下 |
| 真皮の密度 | 26.4%上昇 |
| 頬の粗さ | 6.8%低下 |
| 毛穴の直径 | 28.5%低下 |
| 皮脂量※10人 | 34.9%低下 |
つまり、研究では3カ月待たなくても、1カ月目から複数の測定値が改善方向へ変化していました。
たとえば目尻のしわの平均的な深さは、開始前の0.077mmから0.065mmになりました。
毛穴の平均直径も、116.51μmから83.33μmへ変化しています。
一方で、すべての項目が1カ月目から変化したわけではありません。肌の弾力や肌色の均一さについて、明確な変化が報告されるのはもう少し後です。
2カ月目。肌の弾力と色の均一さにも変化
56日後になると、1カ月目に変化していた項目の多くで、さらに数値が動きました。
目尻のしわは34.7%低下、フェイスラインのたるみは14.7%低下、真皮の密度は41.0%上昇しています。
ここで新たに変化が確認されたのが、肌の弾力と肌色の均一さです。
肌色については、頬の内側と外側の明るさを測り、その差を比較しています。
56日後には、その差を示す数値が開始前より32.7%低下しました。
これは、測定した2カ所の明るさの差が小さくなり、肌色がより均一な方向へ変化したという意味です。
弾力性の割合は、論文内で数字が一致していません
肌の弾力については注意が必要です。
論文本文では56日後に17.1%上昇したと書かれている箇所がありますが、結果の概説では12.5%とされています。
さらに84日後についても、本文では18.7%、まとめ図では13.1%となっています。
一方、測定表そのものでは、弾力を示すR5が、
0.5412→0.5417→0.6091→0.6121
と上昇しています。
そのため、弾力を示す測定値が2カ月目以降に上昇したことは確認できますが、何%上昇したかについては論文内で不一致があります。
このような場合は、一つの数字だけを選んで断定しないほうが適切です。
3カ月目。目尻のしわは38.3%、真皮密度は47.7%変化

84日後、つまり約3カ月後には、研究で調べた多くの項目で開始前との差がさらに大きくなっていました。
主な結果をまとめると、次のようになります。
| 項目 | 28日後 | 56日後 | 84日後 |
| 目尻のしわの深さ | −15.6% | −34.7% | −38.3% |
| フェイスラインのたるみ | −5.4% | −14.7% | −24.8% |
| 肌の硬さを示すR0 | −13.6% | −19.7% | −23.6% |
| 真皮の密度 | +26.4% | +41.0% | +47.7% |
| 頬の粗さ | −6.8% | −18.2% | −23.8% |
| 肌色の差 | ― | −32.7% | −34.9% |
| 毛穴の直径 | −28.5% | −30.7% | −32.8% |
| 皮脂量※10人 | −34.9% | −63.9% | −70.3% |
| ポルフィリンを含む毛穴※10人 | ― | ― | −23.2% |
この表を見ると、今回の研究の特徴が分かりやすくなります。
「3カ月後だけ良かった」というより、1カ月、2カ月、3カ月と時間を追うにつれて、多くの項目が段階的に変化していたのです。
この研究では、単に「使用前と使用後」を比べるよりも、変化の時間経過そのものが重要な情報になっています。
真皮密度47.7%上昇=コラーゲンが47.7%増えた、ではありません
数字の中でも目を引くのが、3カ月後の真皮密度47.7%上昇です。
研究では、超音波を使って右頬の真皮を調べました。
真皮密度を示す平均値は、
36.33→45.91→51.23→53.66
と変化しています。
これは、超音波で測定したときに、研究開始前より真皮が密な状態を示す数値になったという意味です。
ここで注意したいのが、「コラーゲンが47.7%増えた」とは言えないことです。
今回直接測定したのは真皮の密度です。
論文では、赤色光がコラーゲンをつくる細胞などに影響する可能性を過去研究から説明していますが、今回の20人でコラーゲンそのものの量を直接測ったわけではありません。
この区別は、研究結果を読み違えないために重要です。
皮脂70.3%低下は目立つ数字。でも対象は10人
3カ月後の結果でもう一つ大きな数字が、皮脂量70.3%低下です。
平均皮脂量は、
285.60→185.90→103.20→84.80μg/cm²
と変化しました。
ただし、この測定を行ったのは20人全員ではありません。
対象になったのは、混合肌〜脂性肌だった10人だけです。
そのため、「赤色LEDを使うと皮脂が70%減る」と一般化することはできません。
今回の研究条件で、混合肌〜脂性肌の10人を測定したところ、このような平均値の変化が確認された、と読む必要があります。
同じ10人では、ポルフィリンを含む毛穴についても調べられ、84日後にその数が23.2%低下しました。
使うのをやめたらどうなる?さらに28日間追跡
この論文ならではのポイントが、3カ月で研究を終えていないことです。
参加者がLEDマスクの使用を終了したあと、14日後と28日後にも同じ測定が行われました。
その結果、
- 目尻のしわ
- フェイスライン
- 肌の硬さ
- 真皮の密度
- 肌の粗さ
- 毛穴
- 肌色の均一さ
- 皮脂
- ポルフィリンを含む毛穴
について、84日目と使用終了28日後との間に明確な差は確認されませんでした。
つまり、この研究の範囲では、使用をやめてから約1カ月後までは、3カ月時点の測定値から大きく戻る変化は確認されなかったということです。
ただし、追跡は28日までです。
半年後や1年後まで続くことを示した研究ではありません。
なぜ赤色光で変化する?今回測ったことと「考えられている仕組み」は別
論文では、赤色光による「フォトバイオモジュレーション(PBM)」の仕組みについても説明しています。
過去の研究からは、赤色光などが細胞内のミトコンドリアにある仕組みに影響し、ATPと呼ばれる細胞が活動するときに使うエネルギーの産生などに関わる可能性が考えられています。
さらに、細胞の情報伝達や組織の修復に関わる反応につながる可能性も論文では紹介されています。
ただし、これは今回の20人で直接確認したことではありません。
今回実際に測ったのは、しわの深さ、真皮密度、肌の粗さ、毛穴、皮脂などです。
「赤色光→ATP増加→コラーゲン増加」という一連の仕組みを、この研究で直接確認したわけではありません。
この結果をほかのLEDマスクにそのまま当てはめられる?
今回の研究で使用されたのは、特定の1機種です。
条件も、
630±10nm、21.7mW/cm²、15.6J/cm²、1回12分、週2回、3カ月
と細かく決められていました。
そのため、「赤色LEDマスク」という名前だけが同じだからといって、別の機器でも同じ結果になるとは言えません。
光の種類だけでなく、光の強さ、肌に届く光の量、使用時間などが違えば、条件そのものが変わります。
さらに論文の著者自身も、どの光の強さが最も効果的なのかを比較した研究はまだないと述べています。
今回の結果は、「赤色光なら何でも同じ」ではなく、この研究で使われた具体的な条件の結果として捉える必要があります。
結果を見る前に知っておきたい、この研究の弱点
今回の研究では、さまざまな測定機器を使い、3カ月間の変化を細かく追っています。
一方で、結果を解釈するうえで大きな限界もあります。
最も重要なのは、赤色LEDを使用しなかった比較グループがないことです。
20人全員が同じLEDマスクを使用し、自分自身の使用前と使用後を比べています。
そのため、「マスクを使わなかった20人では3カ月後にどうなったのか」が分かりません。
また、参加者は普段使っているスキンケア用品、洗顔料、メイク用品を研究中も使用していました。
著者自身も、これらの影響とLEDマスクを追加した影響を完全に分けられないことを、研究の限界として挙げています。
参加者数も20人と多くありません。
特に皮脂などの測定は10人です。より多くの人でも同じ傾向になるのかは、この研究だけでは分かりません。
まとめ|この研究で見えたのは「3カ月間の変化の積み重なり」
今回の研究では、20人が特定の赤色LEDマスクを1回12分、週2回、3カ月使用しました。
特徴的なのは、使用前と使用後だけではなく、1カ月後、2カ月後、3カ月後と肌の状態を追ったことです。
1カ月後には、目尻のしわ、真皮密度、肌の粗さ、毛穴などに改善方向の変化が確認されました。
2カ月、3カ月と続けるにつれて、多くの項目で変化がさらに大きくなっています。
3カ月後には、目尻のしわの深さが38.3%低下し、真皮密度を示す数値が47.7%上昇しました。毛穴の直径は32.8%低下しています。
さらに、使用をやめてから28日後まで調べても、3カ月時点から明確に元へ戻る変化は確認されませんでした。
一方で、この研究には光を使わない比較グループがなく、参加者も20人だけです。
そのため、「確認された変化がすべて赤色LEDによって起きた」と断定することはできません。
この論文から読み取れるのは、決められた条件で赤色LEDマスクを3カ月使用した20人を追跡すると、複数の肌指標が時間とともに改善方向へ変化したというところまでです。
前回のような「赤色光は肌に効くのか」を広く検証する記事というより、今回は「赤色LEDを3カ月続けたとき、肌の変化はどのような時間経過をたどったのか」を見る研究として読むと、この論文ならではの面白さが見えてきます。
参考文献
Reverse skin aging signs by red light photobiomodulation
Virginie Couturaud, Marie Le Fur, Michele Pelletier, Frederic Granotier
2023年
Skin Research and Technology, 29, e13391
DOI:10.1111/srt.13391